夢幻的プラネタリウム

visionary planetarium

中島みゆきコンサート「歌会 VOL.1」 1/19

東京国際フォーラム ホールA

▼SETLIST
「はじめまして」「歌うことが許されなければ」「倶に」「病院童」「銀の龍の背に乗って」「店の名はライフ」「LADY JANE」「愛だけを残せ」/休憩/「ミラージュ・ホテル」「百九番目の除夜の鐘」「紅い河」「命のリレー」「リトル・トーキョー」「慕情」「体温」「ひまわり"SUNWARD”」「心音」/EC「野ウサギのように」「地上の星

4年ぶりのツアーの初日。4年前はチケットを手に入れてはいたものの中止だったので、夜会以来5年ぶりに見る中島みゆきのステージだった。それだけ間があいたのにも関わらず、相変わらず1曲目からめちゃめちゃ声が出ていて凄まじい歌唱。ドラム、ベース、キーボード、キーボード&サックス、ギター、キーボード、コンダクター、コーラス3人、ストリングス6人。総勢16人を率いているのに、その音に一切引けを取らないパフォーマンス。迫力満点。

休憩前の前半戦は、曲の合間で楽曲にまつわる話をする少しゆったりとした仕様。4年前のツアー中止の話をした後に「歌うことが許されなければ」を歌いはじめるの、勝手に文脈を汲んで、すごいセットリストを組むじゃんと思ってしまった。そしてそのツアー中止の原因となったコロナに触れて病院関連楽曲を3曲立て続けに歌うのもすごいセットリスト。「病院童」のギターソロからサックスソロ、あまりにも気持ちよくて最高。「銀の龍の背に乗って」の照明が散らばる龍の鱗のように見えて印象に残っている。長年バンマスを務めていた小林さんが亡くなり、バンマスは欠番でその代わりに牧羊犬がいますと紹介されるコンダクターの瀬尾さん。今回はかつて小林さんの弾いていたピアノの音を抽出して楽曲に使うという説明を置いて歌われる「LADY JANE」。誰も座っていないグランドピアノに白いピンスポットが落ちて、ピアノソロが聞こえる。そのソロの後に歌われる「静かに遠ざかるレコードから 引き継いで弾く」というフレーズの鮮烈さたるや。そこだけくっきりと際立って聞こえた気すらする。そしてその次が「愛だけを残せ」なの、本当にすごいセットリストだよ。そこから会場で募っていたお手紙を読み上げお返事をしていくトークパート。このコーナーのための構成作家とともに時間いっぱい軽やかにお手紙を読み上げ、そのまま休憩に入ります。

休憩を終えて1曲目は「ミラージュ・ホテル」。最初の一音で心臓握りつぶされるくらい心拍数が上がった。本当に本当に本当に大好きなのでこの曲聞いただけでもうこのコンサートに足を運んでよかった!と思えた。チケ代曲です。曲の半分くらいまで呼吸を忘れて見ていたのだけれど、途中で背景が「24時着0時発」っぽい配置なのことに気がついて、これはつまり夜会からこの曲ってことなのか?と気がついた。数音でがらりと空気を変える「百九番目の除夜の鐘」が続いて、これは夜会曲のセクションだということを確信した。そして「紅い河」「命のリレー」「リトル・トーキョー」と続くこれまでの夜会を駆け抜けるようなセットリストを、1曲1曲合間に着替えをこなしながら披露。曲の終わりにステージ中央に置かれた衣装がびっしり掛けられた大きいハンガーラックの後ろにはけて行き、次の曲のイントロが終わる頃に出てくると衣装が変わっている仕様。「命のリレー」で使われていた星の明かりのように見える照明、前半の「銀の龍の背に乗って」で龍の鱗のように見えたのと同じものだと気がついて、言葉の印象の大きさを感じた。「命のリレー」終わり、長い警笛の音を鳴らしながら電車が走り抜けていくように音が横切っていたの、すごい演出だった。その余韻を噛み締めていると上からLittle Tokyoと書かれた看板が降りてきて軽やかで楽しげな「リトル・トーキョー」で夜会セクションは締められる。本編最後の「心音」では、ステージ後ろの白幕に映写機で「アリスとテレスのまぼろし工場」の映像がぶわっと溢れ出すように映される。ぱっと打ち上げた花火のように終わるのが本当に綺麗な幕切れという感じでとても素敵だった。

バンドメンバーはステージに残ったまま、流れるようにアンコールに突入。最後の最後に歌われる「地上の星」、圧巻の二文字に尽きた。歌がうまいとか表現力がすごいとかそういう言葉を並べても追いつかないくらい、最初から最後まで格別。今までたくさん耳にしてきた同曲を軽々と超越するような圧巻のパフォーマンスだった。曲終わりにぱっと客電を上げて有無を言わさず退場アナウンスが流れることで、現実味が薄れて余計に淡い手触りの余韻が残る感じ。バンドメンバーが退場するまで大きな拍手が続いて公演は終了。退場の波に乗ったところ階段に流れ着いてしまったために、ふわふわした気持ちのまま6階分を階段で降りて帰路につきました。